研究内容


 生体組織のかたちと力学的な役割を機械工学の立場から探る「バイオメカニクス(生体力学)」の考え方を用い,機械・構造物の適切な設計手法と,医療に役立つ新しい技術を開発しています.骨・歯,人工骨,補正下着,工業製品を対象とした実験と計算を行っています.




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骨リモデリングシミュレーションとマルチスケール応力解析による海綿骨の骨質評価手法の開発


 力学環境への機能的適応と密接に関連する骨のリモデリング現象に対する応力一様化の概念に基づく計算シミュレーション手法と,生体アパタイト結晶配向に起因する骨梁の材料異方性を考慮したマルチスケール応力解析手法による骨質評価手法を開発しています.リモデリングに伴う骨の形態変化および材料異方性と,海綿骨の力学的特性の関連の解明により,骨の機能的適応メカニズムの抽出と、長期的な骨折リスクの予測への応用が期待されます.



イメージベース力学解析に基づく緩み抑制を目指した脊椎固定用flexibleスクリュー・ロッドの開発


 脊椎後方固定術に用いられるスクリュー・ロッドの緩み抑制を目指した設計指針の探索を行っています.スクリューの骨への挿入時の力学解析を行うため,CTスキャンにより患者の骨の形状と材料特性を反映した有限要素モデルを構築し,計算力学シミュレーションにより,ロッドの剛性とスクリューの緩みの関係を探っています.このような力学的な医療デバイスの有用性の評価手法が,臨床における新しい診断・治療方法に貢献することが期待されます.

【金沢大学整形外科との共同研究】



整形外科用新規模擬骨材料の設計開発


 整形外科医師の手術トレーニングにおける利用を想定して,実際の骨の力学的特性と類似する新規模擬骨材料を開発しています.開発中の新規模擬骨材料は多孔質体であるため,材料内部の空孔分布とドリリング特性の関連を実験と計算の両アプローチにより評価しています.将来的に,オーダーメイド設計をした模擬骨材料を用いた手術トレーニング教育や,病態別の手術シミュレーションへの応用を目標としています.

【(㈱Wetlabとの共同研究】


筋骨格モデルによる変形性股関節症の歩行・動作解析


 変形性股関節症における股関節周囲の筋力低下のメカニズムの解明と,手術時の人工股関節の最適設置位置の検討を目的として,筋骨格シミュレーションを用いた歩行・動作解析手法を開発しています.筋活動度の最適化を用いた計算手法の確立とともに,変形性股関節症患者への新たな診断・治療方法となることが期待されます.

【横浜市立大学整形外科との共同研究】


骨盤底筋の挙上効果のためのサポート下着の最適設計


 産後の多くの女性において骨盤底筋の筋力低下に伴い発症する腹圧性尿失禁や骨盤内臓器脱の改善を目的としたサポート下着の最適設計指針を研究しています.筋骨格モデルに基づく骨盤底筋群の臓器支持に重要な筋の同定とともに,臀部の有限要素モデルを用いたサポート下着の適切な支持力の組み合わせを解析し,サポート下着と骨盤底筋の挙上効果の関連を評価しています.若年女性が悩む疾患の改善を強力にサポーする補正下着の開発への応用を目指しています.

【滋賀医科大学臨床看護学講座との共同研究】


口腔インプラント手術シミュレータの開発


 口腔インプラント手術シミュレータの開発とともに,実際の歯のドリリング感覚を反映したデータベースの構築を目指し,高解像度の下顎骨の計算モデルに対する力学解析を行い,ドリリング必要荷重を同定しています.また,確率均質化法を用い,ばらつきを考慮したドリリング荷重の提示方法の研究を行っています.実際の口腔インプラント手術を担う歯科医師に対し,力覚データベースに基づく有用な手術シミュレータになることが予想されます.

【慶應義塾大学理工学部 高野研究室との共同研究】


骨芽細胞のアクチン細胞骨格構造の変化


 骨の力学的適応を担う骨芽細胞に対し,細胞周囲の環境変化に対する細胞応答特性を明らかにするため,力学環境変化における細胞内のアクチン細胞骨格の構造変化について,実験的アプローチによる検討を行っています.



移動性細胞の駆動メカニズムの解明


 細胞の内部構造を変化させながら能動的に移動運動を行う移動性細胞に対し,移動運動と力学因子の関連について明らかにし,移動運動の駆動力を生み出すメカニズムを探るため,手法・装置の開発とともに,実験・観察に取り組んでいます.


競技用自転車ペダル軸の疲労強度評価


 頑強な肉体・高い運動能力を有する競輪選手によって繰り返しの過酷な力学環境下で使用される競輪自転車ペダル軸は,予想以上に早く疲労破壊に至り,選手生命を脅かす大事故につながる恐れがあります.このため, 精度の高い疲労強度評価が望まれます.本研究では,レース中の競輪選手特有の踏力と引張力を反映した疲労試験を実施してペダルの疲労強度評価を行い,疲労寿命設計指針を提示することを目指しています.

【滋賀県工業総合センターとの共同研究】


本研究は,公益財団法人JKA RING!RING!プロジェクトの研究助成を受けています。


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